なぜ土地活用が必要なのか

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「土地活用」とはよく使われる言葉ですが、なぜ土地活用が必要で、どのような土地活用が有効なのでしょうか。土地活用についての基本的な知識を整理してみましょう。

土地を保有しているだけではマイナスに

【毎年かかるコストがある】

 

土地を保有していると、何もしなくても、毎年、固定資産税や都市計画税というコストがかかります。つまり、土地を十分に利用しているか、土地を活用して収益を生み出していなければ、単純計算でもマイナスになっていることになります。

 

しかし、逆に言えば、土地を活用することで収益を生み出すことはもちろん、後述するように固定資産税や都市計画税の節税にもつながります。

 

 

【空き家認定のリスクも】

 

土地の上に遊休建物が残っている場合、防犯上の問題、崩壊など物理的な危険性、悪臭など衛生上の問題があり、近隣に対する迷惑にもなります。

 

また、2015年2月から「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家対策特別措置法)が施行されています。この法律では、たとえば、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのあるなどの要件を満たした物件が「特定空家等」とされ、強制的に解体されるリスクなどがあります(解体費用は所有者持ちとなります)。

 

住宅用地の場合は、特例により固定資産税は軽減されますが、「特定空家等」に認定された場合、優遇措置が適用されなくなり、固定資産税が数倍にまで増加する可能性があります。

 

 

【相続税評価額について】

 

土地の相続税を計算する際には、路線価が使われます。路線価に面積を乗じて算出するわけです。路線価の定めがない地域では、固定資産税評価額に基づいて算出します。相続税評価額は、たとえば賃貸アパートを建築した場合などに軽減されます。これがいわゆる土地活用による相続税対策ということになります。

土地活用で得られる効用

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【土地保有は不動産経営上のアドバンテージ】

 

不動産投資には、土地付きの建物を取得する方法や用地取得してから収益物件を建設する方法などいくつかのパターンがあります。しかし、一般に賃貸需要があるエリアの土地の価格は高く、土地と建物の取得価額は高額になりがちです。

 

用地取得から不動産経営をスタートする場合には数十年かかる投資回収期間が、もしも当初から土地を保有しているならば数年レベルにまで短縮される可能性があります。つまり、土地を保有しているだけで、不動産経営という観点では大きなアドバンテージを持っていると言えます。

 

【安定収入は老後の年金代わりに】

 

他の事業と比較して、不動産収入は安定性が高いという特徴があります。土地を活用して不動産経営を行うことで、個人年金代わりの収入源となります。

 

 

【さまざまな税制優遇を利用】

 

固定資産税や都市計画税では、土地の上に一定の要件を満たす住宅を建築することで、「住宅用地の特例」が適用されます。土地面積200平方メートルまでは「小規模住宅用地」として課税標準額が6分の1に、土地面積200平方メートルを超える部分については「一般住宅用地」として課税標準額が3分の1に軽減されます。

 

相続税では、「小規模宅地等の特例」が適用されます。たとえば、土地活用を行い、不動産を賃貸しているような場合には「貸付事業用宅地等」に該当する可能性があり、200平方メートルまで相続税の課税価格が50%減額されます。

具体的な土地活用例

【アパート、マンション経営】

 

定番の土地活用方法といえます。住戸数が確保できるため土地面積あたりの収益性が高くなる特徴があります。

 

 

【店舗経営、駐車場経営】

 

店舗用建物を建築して賃貸する方法も考えられます。また、ロードサイドなどで店舗用地として土地だけを貸し出す方法も考えられます。土地の賃貸や駐車場経営であれば、初期投資額を抑えられるというメリットもあります。

 

 

【倉庫・事務所事業用向けの物件】

 

立地条件によっては、倉庫事務所などを建築することで土地活用を図る方法です。最寄り駅が遠いなど利便性が劣る土地でも、市場ニーズを的確に捉えた企画を行うことで、比較的低コストながら高い利回りで運用することが可能です。

 

 

【等価交換(立体買換え)】

 

土地オーナーがディベロッパーに土地を提供し、ディベロッパーの資金でマンションを建設した後、土地の一部と建物の一部を交換する方法です。土地オーナーは資金負担なく、マンション投資を行うことができます。また、「中高層耐火建築物等の建設のための買換え特例」(租税特別措置法37条の5)の要件を満たせば、税額の控除が受けられるというメリットもあります。

 

 

【一戸建貸家など】

 

アパートやマンションを建築するほど大きな土地でない場合は、貸家として、分譲並みの一戸建貸家を建築する方が効果的な場合もあります。

また、相続税対策面でも、木造住宅の方が耐用年数が短いため、節税効果も高いと言えます。

また、大きな土地であっても、将来の相続人が複数の場合、大きな土地を区画して、1戸ずつ独立させた建物とすることで、相続時に共有財産とすることなく、個別に相続することが可能になるため、将来のトラブル防止にもつながります。